- 2008-10-29 (水) 13:06
a.政策動向
[1]2030年のエネルギー需給展望
2030年のエネルギー需給展望(総合資源エネルギー調査会需給部会,平成17年3月)では、再生可能エネルギーがエネルギー自給率の向上や地球温暖化対策の観点から優れた特性を有するとした上で、現時点では、出力の不安定性や高コストなどの課題を抱えていると指摘している。その中で、太陽光発電は近年コスト低減が進展しており、世界全体で既に131.2万kWが導入されており(2002 年段階)、今後もコスト低減技術や系統連系技術の進展により、導入が拡大していくことが見込まれるとしている。また、太陽光発電に係る技術開発において変換効率を大幅に向上させる画期的な技術が開発導入される場合には、エネルギー需給構造は根本的に変化しうるものの、特段のブレークスルーが生じない場合には、2030年段階においてもエネルギー供給構成はさほど変化しないとしている。
エネルギー技術進展ケースのうち、新エネルギー進展ケースについては「コストダウンや技術進歩の加速化が実現するとともに、その導入に対して社会全体が積極的に取り組むことで、大幅な新エネルギーの進展が実現するケース」とし、2010年度の「レファレンスケース」については、新エネルギー部会報告書(2001年6月)において「現状対策維持ケース」として推計された878万klを基本に見通すとともに、「新エネルギー進展ケース」については、同報告書の「目標ケース」の1,910万klを参考として設定した。
[2]支援制度
住宅向け太陽光発電の補助事業は2005年度に終了するが、住宅用がこれから本格普及していく方向であることから、経済産業省・資源エネルギー庁は新たな支援制度として、住宅用などの小口案件に初めて財政投融資を使い、割賦販売事業者に費用の一部を長期・低利で融資する制度を2006年度からスタートさせる予定である。具体的には、一般住宅に太陽光発電を設置する際の設備費に割賦販売を利用している場合、割賦販売をしている事業者に、太陽光発電システムにかかる費用の金利分の一定額を融資するものである。
また、2006年度から、産業界や自治体等のフィールド導入事業の拡充や、電力業界や地方自治体と一体となって5,000~7,000kWを売電するソーラーパワー事業の育成を行う予定である。
一方、環境省は地球温暖化対策の一環として太陽光発電の普及に向けた「ソーラー大作戦」を2006年度に展開する予定である。太陽光発電システムを導入した家庭における二酸化炭素削減量に応じた助成金支給制度(ソーラー・マイレージクラブ)の創設や、大規模宅地開発で太陽光発電を導入する業者を支援するモデル事業などが柱である。
b.企業動向
[1]シャープ
旺盛な海外需要に対応するため、太陽電池の生産規模を年産50万kW規模に拡充した。また、今後のテーマである太陽光発電の大型化に向けて、独立発電事業者とともに液晶生産の亀山工場(三重県)の新工場の屋根に国内最大の5,100kWを設置するなど、メガソーラーへも焦点を合わせた。
[2]京セラ
モジュール変換効率14.09%の標準タイプの住宅用太陽光発電システム(切り妻用と陸屋根用の2種類)や、需要の多い中規模クラス(10~13kW)で初めての標準パッケージ化した民間施設用太陽光発電システムを発売した。また、シリコンの入手難に対応したセルの薄型化や生産工程の見直しを進めるとともに、原料の使用削減効果が大きい太陽電池セルの薄型化も進めている。
[3]三菱電機
一層の低コスト化を図るべく50μm厚の超薄膜化を実現する次世代シリコン基板スライス技術の開発に着手するとともに、2006年度には住宅用太陽光発電に設置する直・交変換装置のパワーコンデショナーの変換効率を世界最高の97%程度に向上した装置を導入する予定である。
[4]松下電工
従来品に比べて約24%の発電量向上、約28%の軽量化を達成した住宅向け太陽光発電システムを発売した。最大出力165Wタイプは従来の四角形パネルと三角形状のパネルを組み合わせることで、設置面積が限られた三角形の屋根面でも有効利用できる。
[5]積水化学工業
太陽光発電を搭載した賃貸住宅を発売した。オーナーの自宅と廊下など共用部分で発電して得られた電力を使用し、その余剰を売電して収入を得ることで高利回りな資産活用法を提案するものである。
[6]エム・エス・ケイ
太陽電池モジュールの年間生産能力を2007年度までに現在比2倍増の40万kWに引き上げることにより、市場全体の10%程度にとどまる建材一体型太陽電池モジュールを国内外で50%に高めることを目指している。
[7]その他の企業等
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と航空宇宙技術振興財団が中国の武漢理工大学などと共同で開発している「太陽光熱複合発電システム」について、宮城県利府町で行っている実証モデルの試験運転を終え、2006年から内モンゴル地区の砂漠地帯で耐久性試験を実施する予定である。
富士電機システムズ、アミタ、大林組、日新電機、京都府などは、NEDO委託事業として京都府京丹後市で進めてきた新エネルギーによる分散型エネルギーの供給システム「京都エコエネルギープロジェクト」を完成し、再生可能エネでの電力供給の実証に乗り出した。
キシムラインダストリーは日野自動車や東海大学と協力して、太陽光発電で電力を供給する車両「エコモービル」を開発した。
c.主要な導入事例
中部国際空港(セントレア)と愛・地球博(愛知万博)では京セラの大型の太陽光発電システムが導入された。中部国際空港のシステムは240kW(167wモジュール×1,440枚で構成)で、駐機する航空機のアイドリングストップ実施時の電力供給を太陽光発電で賄うものである。愛知万博のシステムは200kW(167wモジュール×1,200枚で構成)で、他の自然エネルギーと系統連系して会場内の補助電源として使用された。
d.地域の動き
大阪府や日本電機工業会大阪支部関西光発電普及推進委員会、関西電力、積水化学工業などが、太陽光発電の普及促進を目的として「おおさかソーラー発電推進会議」を設置した。関西方面は太陽光発電パネルやインバーターメーカーが集中しており、太陽光発電システムの普及に適した環境にある。市民への省エネ啓発効果も大きいことから、官民共同の推進会議を設けた。
著作権者 : 新エネルギー・産業技術総合開発機構
- Newer: Q25.太陽光発電に関する誤解例
- Older: Q23.太陽光発電システムの発電量算出例について
Comments:0
トラックバック:0
- この記事のトラックバックURL
- http://daiko-okinawa.co.jp/qanda23-2.php/trackback

